(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
椎葉絢香のコラム
牛だって不妊治療⑧

コラム一覧に戻る

2016年10月13日

 さて、AI・ETの説明が終わりましたので“ゆうこりん”のお話をしていきましょう!!

 10回ものAIを行っても妊娠しなかった“ゆうこりん”…。AIで受胎しなかったにも関わらず、1回のETで受胎したこの牛から私はたくさんのことを学びました!!

①子宮体・子宮角の問題ではない!
 精子は子宮角から卵管へ動いていきますが、この時はまだ受精能を持っていません。卵管に入ると卵管峡部というところで受精能を獲得し、卵管膨大部というところで卵巣から排卵してきた卵と出会い、うまくいけば受精します。

 うまく受精し、受精卵となると子宮角まで移動し着床がおこります。AIで受胎しなかった“ゆうこりん”の場合、子宮体や子宮角に問題があって着床できないとなると、ETでも受胎しないはずです。(*‘∀‘)

②AI×ET○は『卵管狭窄』の可能性!
 「AIで受胎せず、ETで受胎した」となると、精子が卵管を通ることができない、あるいは、受精卵まではうまくいくが受精卵が卵管を通ることができない『卵管狭窄』の可能性が高いです。

 卵管が狭窄する原因としては、先天異常(残念ながらAIでは受胎不可能)や子宮の汚れが卵管に詰まることによる狭窄(この場合、子宮洗浄で通過することが期待できるので、子宮洗浄をやってみるのもイイです☆)、卵管炎による癒着(直腸検査による強い刺激も1つの原因になるかもしれないので気をつけてくださいね!)があげられます。ETは、卵管を通ることなく受精卵を子宮に移植させる技術なので、卵管狭窄の牛には、最適ですよ♪♪
つづく・・・(*´▽`*)

|