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椎葉絢香のコラム
牛だって不妊治療⑦

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2016年10月5日

 ②体外授精卵移植

 体外授精卵移植は、メス牛の卵巣から未受精卵を採取し、培養器内で精子と授精させ、授精卵を作り移植させる技術です。人では『試験管baby』と呼ばれています!(^_^)/

 この時、未受精卵を採取する牛は“生きていなければならない”ということはありません。体外授精卵のほとんどは、とちく後のメスの卵巣から採取します。とちく場でとちくされた牛の卵巣は廃棄されることが多いにも関わらず、1個の卵巣には数百~数万個の卵(正しくは卵になるもとである細胞)が含まれています。非常にもったいないのです。٩( ‘’ω’’ )و これを有効に利用しているのが体外授精卵移植です!!

 最近はエコーの発達により、生体の膣から卵巣に針を刺し未授精卵を採取する方法(経腟採卵:OPU)も飛躍してきています。

 技術の流れとしては、未受精卵採取と、未成熟卵培養(排卵期のステージまで培養)→媒精(精子と卵を混合させ受精させる)→培養授精卵移植・凍結保存となります。

 体外授精卵移植は体内授精卵移植と比べて、ホルモン注射やAIを行わず授精卵を効率的に生産することができますので、低コストで大量生産することができます。しかし、未成熟卵から成熟卵への培養、受精卵の培養を行うことができる設備が必要です。

 また、とちく場で肥育牛の卵巣から採取した卵をつかって体外授精する際には注意しなければならないことがあります。肥育牛は母牛登録がされていないので、その授精卵から子牛が産まれても子牛の登録ができません。なので、とちく場で肥育牛の卵を使った体外授精卵移植は牛の改良目的ではなく、肥育牛の増産に大きく貢献していると言えると思います。

 次回は、授精卵移植で受胎した“ゆうこりん”で受精卵移植の素晴らしさ☆について説明しようと思います。つづく・・・(*´▽`*)

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