たとえば、削蹄。
フリーストールやフリーバーンの農場では特にそうですが、蹄が悪くて大きなロスをしています。そんな100頭規模の農場では蹄管理から年間、100万円〜200万円の利益が出てきます。
「削蹄を徹底して、200万円アップする」という目標を、具体的作業にどう落とし込むか。「だれが」「いつ」「どのように」「いくらで」、この各項目を具体的に。
削蹄師に依頼するのか、自分で削蹄するのか。削蹄師に依頼するなら誰が連絡するのか。
自分で削蹄するなら、その方法はどうするのか。100頭規模の農場で一頭の牛を一年に2回削蹄するには、年間延べ200頭。一度に全頭削蹄するのか、月ごとに分けて削蹄するのか。一ヶ月に15〜20頭づつ分けて削蹄するには、何人の人数で、その月のいつにするのか。全頭削蹄せず、蹄が悪い牛のみピックアップして削蹄するのか。もしそうなら、誰がいつどのように削蹄する牛を決めるのか。夏場の粗飼料つくりが忙しい時には、どのように削蹄するのか。削蹄用の便利な削蹄枠を作るのか。もし、作るならどんなデザインの枠場が、一番効率がよくて使い易いのか。それを、どこで探すのか。どこに発注して作るのか、買うのか。忙しいときでも、農場のメンバーが病気や急な用事で抜けたときでも、もれなく削蹄をするためには、どんな仕組みがいるのか。
特にだいじなのが、「仕組み」つくりです。「暇があって、気が付いた時に削蹄しよう」
などと思っても、まずうまくいきません。ほとんどの蹄の悪い農場でも、「蹄が悪いから削蹄しなくては!」と思っています。ところができないのです。
それは「仕組み」まで、作り上げてないからです。
人手が足りなくてもできる、忙しい時期でもできる、忘れてもできる、ヤル気がなくてもできる、そのためには、どんな仕組みがいるのか。
それを農場の作業に落とし込んでいるところでは、非常にいい蹄をしているので数百万円のロスを防げています。
このように飼料、育成、乳質、病気、乾乳、牛舎環境、繁殖、蹄などの部分で具体的な作業をなにをどうするのかと落とし込みが重要になります。
必要な作業についての情報は、各種情報誌にのっています。なにをどうするのかは、多くの情報があります。
しなければいけないことは、多くの農場でわかっているのですが、それを、仕組みにしていないために、「しなければいけないけど、時間がないし、面倒で今日はできない」となり、数年間ずっとできません。
それは「仕組み」まで、作り上げてないからです。
人手が足りなくてもできる、忙しい時期でもできる、忘れてもできる、ヤル気がなくてもできる、そのためには、どんな仕組みがいるのか。
一番の要点は、「仕組み化」です。
(つづく)