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戸田克樹のコラム
第556話「このニップルが嫌い」

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2026年7月16日

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「昨日も今日もミルクを飲まない牛がいます。」

そう言われて診察した牛は38.7℃。
便に異常はなく、匂いも正常。少し元気がない感じですが、呼吸も心音も異常なし。肋骨骨折もなければ、腹部も耳の問題もなし…

結膜が白かったので貧血ではありそうです……

ただ、それにしてもミルクを全く飲まないほどだろうか??と疑問に思いつつ、貧血の数値を調べてみようということで血液検査をしました。

やはり赤血球数やヘマトクリット値は低く(赤血球452万/μl、Hb6.1g/dl、Hct21.1%)、貧血が確認されました。

翌日、その報告をすると、やはりこの日もミルクは全く飲んでないようです。そして、さらに「昨日より元気なくなった」と言われました。

「1回輸血しようかな」なんて思っていると、「分娩室で母牛と一緒にいる時は飲んでたんですけどね」という一言がポロリ。

この一言が全てを変えてくれました!!!「もしかして、チクビが嫌いなだけじゃないか?」その推察を確認するため、ハッチから出して、母牛につけてみるようにお願いしたところ、30分後に1本の電話がかかってきました。

「めちゃくちゃ勢いよく吸ってますわ!!!!ずっと吸ってますわ!」

こうして、この牛の治療は幕を閉じました。もちろん、ミルクを飲まなければ熱がある、下痢をしているなど、何かしら異常があると疑って診察を依頼したり、確認したりといった作業は大切です。ただ、明らかな異常がない場合、もし人工哺乳が始まって間もないタイミングであれば、ニップルに馴染むことができず、それが嫌いで飲まないというパターンがあるのです。試しに母牛に1度つけてみて、グイグイ飲むようであれば、諦めて母子同居管理にするか、同居させながら粘り強く哺乳ボトルの飲む練習をさせるのも良いでしょう。また、材質が違うチクビを試してみるのも有効です。新品ではなく、少し時間が経ったやわらかいものなら吸うこともあるかもしれません。

久しぶりに、そっち(ニップルが嫌なだけだった)か!!と、驚いた症例だったので、皆様にも共有しようと思いコラムにしました。

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