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見抜けなかった血便

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2026年5月25日

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 先日、遠方のコンサル先から「母牛のお腹が膨れてエサを食べない」という連絡が入りました。体温や全身の写真、眼のアップや全身のビデオを送ってもらい、直腸検査も実施してもらいました。体温は38.6℃で、見た目は第一胃皷張症か第一胃食滯の印象でした。直腸検査してもらったところ、直腸内にはあまり便がなく、ひとかたまりの正常便だけ取れたとのこと。周囲に脂肪壊死も見つかりませんでした。眼も特に異常を感じなかったため、第一胃皷張症および第一胃食滯を疑い、塩類下剤と第一胃蠕動亢進薬を使おうと思い、硫酸マグネシウムの所有を確認したところ、持っていないとのことだったため、近所のドラッグストアで酸化マグネシウム下剤を購入し、ヒトの20倍量をぬるま湯9リットルでとかして飲ませてもらいました。
 翌日も食欲なく、体温も変わらなかったため、地元の獣医師に硫酸マグネシウムを飲ませてもらうように指示したところ、来てくれたけど、硫酸マグネシウムは持っていないので、ガスだけ抜いて注射を打って、「明日、硫酸マグネシウム持ってきます。」といって分かれたとのこと。
 その数時間後、畜主が、何か様子がおかしい、と思ってお尻をみると水のような血便をしていて、あわててまた僕に電話してきました。
僕も驚いて、その時の症状からクロストリジウムのエンテロトキセミアだと診断し、すぐにインタゲン6gとデキサメサゾン10ml急速静脈してくださいと伝え、その後の補液の指示を書いていたところで、また電話がかかってきて「静脈注射しようとして行ってみたらもう死んでいました」とのこと。3日間もお腹が膨れただけで、発熱もなく便の異常も認めず(直腸検査でほとんどないという所見はあったのですが)、3日目に急に血便をしてかなりの速い転帰で死亡する、という症例は僕の記憶になく、同様の所見には気を付けよう、と深く反省した事件でした。



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