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橋本匠護のコラム
夏場はルーメンアシドーシスとの戦い

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2026年4月24日

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夏場の病気といえば、何を思い浮かべるでしょうか。熱中症や急性肺水腫など、症状がはっきりしていてインパクトの大きい病気を思い浮かべる方が多いかもしれません。


熱中症で起立不能の牛

もちろん、これらは牛の命に関わる非常に重要な疾患です。一方で見た目は派手ではないものの、確実に牛群の生産性を落としていく“厄介な存在”があります。

それが、潜在性ルーメンアシドーシス(SARA)です。

ルーメンアシドーシスといえば、ルーメンpHが急激に低下し、ルーメン内がバシャバシャになるような急性例をイメージすることが多いと思います。一方で、名前の通り潜在性ルーメンアシドーシスはそういった劇的な症状を示すことはほとんどありません。


急性ルーメンアシドーシスの牛の胃洗浄

しかし、食欲低下や難治性の下痢といった“じわじわ効いてくる症状”によって、気づかないうちに生産性を下げていきます。さらに、慢性的なルーメン環境の悪化は肝機能の低下につながることも。


夏場に増える難治性の下痢

私自身、夏場はこの潜在性ルーメンアシドーシスとの戦いだと考えており、非常に重要視しています。

では、なぜ夏場にルーメンpHは下がりやすいのでしょうか。いくつかの要因が考えられています。暑熱ストレスによる乾物摂取量の低下(特に粗飼料)、反芻時間の減少、ルーメン内への唾液流入量の低下、夜間の固め食いなどなど。

これらが重なることで、ルーメン内の緩衝能が低下し、pHが下がりやすい環境が作られてしまいます。

対策としては、まず「しっかり粗飼料を食べてもらうこと」が基本になります。そのためには、嗜好性と品質の良い粗飼料の確保が欠かせません。

加えて、毎日の定時給与によって採食パターンを安定させること。ルーメン内の微生物環境を整えるための生菌剤の添加も有効です。また、重曹入りの固形塩などを設置し、ルーメン内pH安定化を図る方法も一つの手段です。

派手さはないけれど、確実に効いてくる。夏場のルーメンアシドーシスは、そんな“見えにくい敵”なのかもしれません。

注:難治性の下痢が続く場合には、単純なルーメン環境の問題だけでないケースもあります。特定の細菌やウイルス、寄生虫、さらにはカビ毒などが関与しているかもしれません。そのため状況に応じて糞便検査などを行い、原因を特定しておくことを推奨いたします。

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