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第862話:と畜頭数雑感 |
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2026年2月3日
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小生は日本の牛肉生産を考えるうえで、最も基本となる指標はと畜頭数だと思っています。
もちろん、枝肉重量の合計で見た方が、より正確な議論ができるのは百も承知です。ただ、小生のように細かい数字を積み上げる作業が少々苦手な人間にとっては、やはり「何頭と畜されたのか」という方が、感覚的にしっくりきます。
では一体、日本では毎年どれくらいの牛さんが、と畜されているのでしょうか???そんな疑問から、家畜改良センターさまの公開データを使わせていただき、例によってサクッとグラフを作ってみました。すると、だいたいこんな感じの推移になります。

全体のと畜頭数を見てみると、平成20年度の 1,242,832頭 をピークに減少が始まり、令和元年度には 1,047,172頭 と、ひとつの底を打っています。
差し引き 195,660頭。約20万頭の減少です。
数字だけ見ると淡々としていますが、現場感覚としては、「だいぶ減ったなぁ」という印象を持つには十分な数字だと思います。ところが、その後。令和2年度以降は再び増加に転じ、令和6年度あたりまで続いてきた、という流れになります。
そういえば……。
令和元年から令和2年ごろを思い返すと、子牛価格は高値で推移し、相場も悪くなかった記憶があります。「今のうちに増やしておこう」という空気が、確かに現場にもありました。国家もこの流れを後押しするように、次から次へと政策を打ち出していました。当時の政策の雰囲気を、あえて一言で表すなら――
「とにかくどんどん増やせ~~~!!突撃じゃ~~~~!!!」
まあ、正直こんな感じだったのではないでしょうか。
現場感覚からすると、「それ、本気でやれと言ってます???」
と首をかしげたくなるような、かなり野心的な増頭目標も提示されていました。
そして、それが2年ほど前に、突然の大転換。
「撃ち方やめ~~~~~!!!撤収じゃ~~~~!!」
はい、急ブレーキです。
方向転換としては理解できなくもありません。実際、需給バランスや国際情勢、飼料価格、消費動向などを考えれば、どこかで「立ち止まる」判断は必要だったのでしょう。
その結果、おそらく 令和6~7年度あたりを山 として、令和8年度以降は再び減少に転じる という見通しが立てられています。「撃ち方やめ~~~!!」の効果が、これからじわじわと数字に表れてくるはずです。
ただし・・・
最前線の現場は、たまったものではありません。増やせと言われて増やし、今度は減らせと言われて減らす。軍令部、もしくは参謀本部の方針ひとつで、現場は右往左往、振り回されっぱなしです。牛はボタンひとつで増減できる存在ではありません。繁殖から肥育、と畜までには、当たり前ですが「時間」がかかります。政策と現場の時間軸が噛み合わないと、こうした歪みは何度でも繰り返されます。
さてさて、この次の局面では、どんな号令が飛んでくるのでしょうか。現場としては、せめて「腰を据えて対応できる時間」だけは、もう少し与えてほしいものだと、つくづく思う今日この頃です。
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