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上物率向上を目指してきたけれど…

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2026年1月26日

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尿でわかる!マイコトキシン検査はじめました
尿中カビ毒検査とは(チラシ) / ご依頼の手順など

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 早いものですねぇ。ついこの前、クリスマスからお正月を迎えたばかりなのに、もう1月も下旬!時の流れの速さに驚愕を覚えています。青年老いやすく、学成り難しといいますが、もう年金もらう歳か?とため息をつくこの頃です。いや、長生きしてるのはありがたいことなんですけどね。2年前は事故で死にかけてたし。

 ところで、牛のお医者さんになってから38年あまり、肥育地帯に赴任したこともあって、病気の治療や予防はもちろんですが、農家さんと一緒に、いかに上物率を上げるか、増体をとるか、を必死で目指してきました。王道のように言われてきたビタミンコントロール理論に反論を唱えつつ、しっかりとサシの入った肉を作ることで、健康な牛さんでよい牛肉を作ることは可能だ、と唱えてきました。

 しかし最近の和牛の枝肉やお肉屋さんに並んだお肉をみると、あまりにもサシ過剰で、これでは脂肪のマーブリングではなく、脂肪の中に赤みがマーブリングしている、本末転倒のように思えます。
 もちろん、サシが入っていてもおいしいお肉は存在します。ただ、最近の系統造成された牛さんを診ると、「邪魔さえしなければA5を作れる」みたいな能力を持ってきています。そこで必死に上物を作る行為に疑問を持ち始めました。

 和牛のA5は、ダイヤモンドだから価値がある、つまり希少性も魅力だったはずです。しかし、日本国中みんなでサシを追い求めた結果、ダイヤモンドの希少性が失われてしまいました。ダイヤモンドを山の中で見つけたらすごくうれしいし価値があると思いますけど、公園の砂場の砂粒が、すべてダイヤモンドだとしたら、そんなもの誰も喜ばないでしょう。

 そもそも和牛の良さは、サシだけではなく、和牛香といわれる香り、赤身のきめ、柔らかい中にも噛み応えがあり、甘味、酸味、うまみ、などの調和のとれた素晴らしいお肉であるはずです。しかし、脂肪交雑だけが突出すると、これらの良さが打ち消されてしまう面もあります。

 もとはといえば、和牛の価値を護るための格付けでしたが、そろそろ別の評価を確立すること、販売やマーケティングの追及による「農家さんも消費者も幸せになる」牛肉生産を目指してはいかがでしょう。課題としては肥育期間の短縮、飼料給与量の節約、などを目指しつつ、シマリの良い風味豊かなお肉を目指さなければなりません。たいへんな課題だと思いますが、これまでの和牛を育ててきた日本人なら、必ず達成できると信じています。
 
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今週の動画
牛の胎盤ってどんな感触?

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