コラム一覧に戻る
2014年9月12日
双口吸虫が肝蛭と大きく異なるところは牛さんに経口摂取された後の体内動態です。草と一緒に摂取された幼虫はまず胃を通過して小腸に入り、そこである程度成長した後、本来の寄生部位である胃に戻って寄生するのです。大抵の双口吸虫は今まで説明してきたとおり牛さんの第1胃や2胃に寄生するのですが、平腹双口吸虫と呼ばれるものは盲腸に寄生することがわかっています。 双口吸虫が小腸と胃の中を移行する際に牛さんの組織はダメージを受けるので、双口吸虫が多数寄生した場合では腸双口吸虫症と胃双口吸虫症と呼ばれる症状がみられることがあります。 腸双口吸虫症では、悪臭のある水様性下痢がみられ、長期化すると削痩や増体率の低下をひき起こします。また、食欲不振や嘔吐が見られた牛さんにおいて平腹双口吸虫の多数寄生がみられた例が知られています。胃双口吸虫症は食欲不振や胃弛緩症などを起こすこともありますが、明らかな病害についてはまだ分かっていません。