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蓮沼浩のコラム
「第229話 「牛RSウイルス病 その1」」

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2011年5月26日

 最初に紹介する牛さんの病気は「牛RSウイルス病」です。この病気はbovine respiratory syncytial virusの略であり、皆さん一般的には「アールエスウイルス」、さらに省略して「アールエス」などといっています。まずこの病気の特徴といえば冬場の呼吸器病の大発生があげられます。肥育農場ですと導入して間もない子牛が風邪を引くのはわかるのですが、生後24ヶ月ぐらいの抵抗力のある肥育牛まで発熱します。感染力が強く、牧場でとにかくどの牛も片っ端から熱が出るので治療が恐ろしく大変になります。色々な報告をみたりすると、肥育牛での呼吸器病の大発生はこの牛RSウイルスが関係していることが多そうです。小生もこの病気に結構悩まされたことがあります。95頭の肥育農場で一日に45頭の牛さんが39.5度以上の発熱をしたことがあります。もっとすさまじい状況になった話も聞いた事はあります。とにかくどの牛さんも餌は食べないし、目が赤くなり、咳はするわ、鼻汁は出るわ、呼吸ははやくなるわで大変でした。家畜保健所の先生にペア血清を調べていただいたら牛RSウイルスと判明。他にも何度か調べていただいた結果は全て牛RSウイルスが原因でした。肥育牛だけでなく、子牛の育成でも大発生しますので注意が必要です。冬場に風邪が大発生とくればまず牛RSウイルスを考えます。

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