(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
「第107話 「除角で注意すること その1」」

コラム一覧に戻る

2008年10月30日

 今回からは肥育牛の除角で注意することを色々述べてみたいと思います。除角の方法は剪定ばさみなどで角を切った後に焼きごてで切断面を焼くという一般的な方法を念頭に書いてみます。

 まず最も注意しなくてはいけないことはロープもしくは専用の枠で抑えていた牛さんが暴れてひっくり返ったときの対応です。やはり除角の時は牛さんも必死ですので回転してひっくり返ったり、座り込んだりそれはそれは大騒ぎとなることがあります。そして牛さんがひっくり返ったり座り込んだりした時にこれはチャンスとばかりに急いで角を切って焼く農家さんもいます。確かにその気持ちもわからなくもないのですが、これは非常に危険です。特に枠から首を出して頭を下にさげる補ていをする場合は要注意。牛さんの首を固定した状態で特に真下にストンと座り込んでしまった場合などは頚椎脱臼もしくは頚椎骨折をおこす危険性があります。小生は今までに2例経験があります。農家さんは座り込んでも大丈夫だろうと思い除角を続けるのですが、牛さんはあっという間に様子がおかしくなり死んでしまいます。もちろん獣医さんが駆けつけても間に合うわけもなく手の施しようもありません。あまりにも悲しい事故です。暴れて倒れてしまったときなどは出来るだけ早く補ていを緩めてもう一度仕切りなおす。牛さんが倒れたときは頚椎を損傷する危険性があるということをどうか心の中に止めておいてくださいね。ちょっと暗い話題でしたが、このような事故が起きないことを切に願っています。

|