(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
「意外と怖いカビのお話1」

コラム一覧に戻る

2007年8月6日


 地球温暖化の影響か、年々暑さも湿度もうなぎのぼりです。こういう時期に注意しなければならないのがカビの問題です。カビはちょっと油断するとどこにでも生えてきますし、意外な猛毒を持ったものも多いのです。みなさんは、カビ毒の影響というとどのような症状を想像しますか?
 まず人間の場合を考えると、下痢や吐き気などの食中毒をおもいうかべるかもしれませんね。確かに消化器に対する影響は牛さんでも重大なのですが、カビ毒の怖いところは、胃腸だけにとどまらず、肝臓障害を起こしたり、貧血したりする場合もありますし、血便したり、繁殖障害や流産の原因になったり、意外なところでは肺炎みたいな症状を起こすケースもあるなど、さまざまな症状を起こすことです。
 カビ毒の中にもいろいろとあって、最強の発ガン性物質といわれるアフラトキシンというものもありますし、ポピュラーなものではトリコテセンやゼアラレノンという赤カビの仲間(Fusarium spp.)が出す毒素が有名です。ちなみにトリコテセンは消化器障害、ゼアラレノンは流産を起こすことで有名です。
 粗飼料にもカビは生えやすいのですが、意外なことに昨日タンクから出して台車に移しておいたばかりの配合飼料の表面にびっしりと生えている場合もありますし、配合飼料の中に配合されているペレットにカビが生えているケースもありますから、牛さんに餌を与える時は、一回一回ちゃんと注意を払ってあげましょう。
|