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池田哲平のコラム
「牛の解剖47: 第一胃(3) ~第一胃の粘膜面~」

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2010年7月30日

 ウシの第一胃の外観や全体像は前回までに紹介したとおりですが、では、その内側(粘膜面)はどうなっているのでしょうか。
 第一胃の粘膜面は「第一胃乳頭」と呼ばれる突起物で覆われています。臨床現場では絨毛(じゅうもう)と呼ぶことも多いです。第一胃乳頭の役割は第一胃の表面積を広げ、第一胃内で微生物発酵によって産生された揮発性脂肪酸(VFA)を効率よく吸収することです。第一胃乳頭は発生するVFAが多ければ多いほど、それらを吸収しようとして発達します。また粗剛性のある繊維による第一胃粘膜への刺激も、第一胃乳頭を発達させる因子になります。つまりはウシの食餌内容によって第一胃乳頭は変化するのです。ちなみに野性の反芻動物では、夏と冬もしくは雨季と乾季での食性の変化によって乳頭の増殖と退縮が起きます。
 また仔牛では、出生直後は第一胃はほとんど発達しておらず、第四胃が胃全体の半分以上を占めるほどですが、離乳後、粗飼料やスターターを食べ始めることで第一胃乳頭がどんどん発達していき、第一胃自体の容積も大きくなっていきます。
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