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松本大策のコラム
安倍ちゃん、消費税上げるってよ!

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2018年10月15日

 今日の臨時閣議で安倍首相が消費税を10%に上げる、という決意表明をしました。「社会保障制度を全世代型に転換するため」とか言ってますけど、僕は信じません。安倍ちゃんは関係ないけど、農林年金が破綻して一時金で済ませます、って通知も来たし、この件に関しての問い合わせは一切受け付けません、って書いてあったし…。いいですね、この上から目線!厚生年金や国民年金だって、支給年齢を引き上げるって、結局は財源(機構が運用を誤っただけでしょ?)不足のツケを国民に払わせるだけでしょうし。

 ま、文句はこのくらいにして、我々庶民ができる対策とか、牛さんに与える影響とかを考えてみましょう。萩原さんという方が、テレビでお話しされていたことはかなり参考になったので、みなさんにも紹介しておきます。

 まず、大きなものから挙げると、住宅とか土地の購入を考えている方、消費税が2%上がると、税金は1,000万円の住宅で20万円も上がる事になります。でも、増税前に駆け込みで買う必要はないよ、とのことでした。
 なぜかと言うと、もともと土地の売買には消費税がかかりません。上物だけなのですね。そして、今不動産業会が最も懸念しているのは、消費税の増税後よりも、2020年のオリンピック終了後の経済失速だそうです。その時は、購買が低迷するので価格を下げざるを得ず、その下落幅が消費税の増額以上だと言うのです。

 次に家電製品や車ですが、駆け込み購買が増えた後の購買低迷でやはり値下がりせざるを得ず、その時の値下げ幅は、最新型よりひとつ前の型落ちの方が大きいので、実利を取るなら「増税後に型落ちを買う」が正解だそうです。女性の方とかは、化粧品なども気になるところ(結構値がはるようですしね)でしょう。でも、こちらも消費期限もあるし、増税後の値下げセールに期待したほうが良さそうです。

 それでは食品は?
 こちらは消費期限の短いものは値下げが起こるでしょうが、どうしても必要な食品は、なかなか値下げが期待できないようです。

 さて、ここまでは前置きです。
 牛さんの世界はどうなるでしょうか?こちらも、消費税値上げよりも考えなければならない要因がたくさんあると思います。まずは、景気が後退している現状(政府の発表などは関係ないのです。問題はみなさんの実感で景気は動く、と言う事です。)では、高級食料品の消費が下がるということ。それから、2020年のオリンピックを当てに牛肉の過剰生産が続いているので、子牛高の割に牛肉価格は上がっていません。お肉屋さんだって、消費者が買わないものに高い値段をつけることはできませんからね。
 それでは、牛さんの飼料や薬品はどうでしょう。こちらは、牛を飼うには絶対に必要なものです。そしたら、別に値下げしなくても売れるでしょ?メーカー間の競争で少しは下がって見えるかもしれませんが、おそらく知れているでしょう。

 これらのことを考えると、牛さんをむやみに増頭するのではなく、リスクを考えながらマーケティングに力を入れるべきだと思います。これは肥育農家さんだけでなく、子牛価格も急落する恐れがありますから、繁殖農家さんも設備投資や適正頭数を考えて経営を見直さなければならないと思うのです。
 人はとかく面倒なことは避ける傾向にありますが、もっとも面倒な「将来予測と対策」を考えた農家さんが生き残ると思いますよ。

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