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伏見康生のコラム
「NO.69: 「日本在来牛 〜 其の二 〜 」」

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2009年12月9日

 現在、日本に存在する改良を受けていない純粋な在来牛は2種のみといわれています。その一つが見島牛です。
山口県阿武郡、日本海に浮かぶ孤島見島に見島牛(みしまうし)と称する純粋の和牛が天然記念物として保存されてきました(昭和3年に見島ウシ産地として国の天然記念物に認定)。
見島牛は役用種で、黒色毛、体格は小さく(牝牛の体高は116cm、体長137cm、胸幅36cm、頭長45cmくらいで非常に小柄)晩熟、皮膚が薄く、毛質がよく、肉質は筋繊維が細かく脂肪交雑が多い非常に良質な霜降り肉となります。その上非常に強健で抗病性に富みます。性格は従順で、粗食に耐え、小さくとも力が強いので、車の使用が困難な見島村における重要な運輸機関として重宝されてきました。
明治時代には島根県より種雄牛を移入して見島牛の改良を図りましたが、生まれた子牛の体格が大きすぎて険峻な見島での使役に適さず、また飼養管理に困難を感じたために、結局はその系統を全部淘汰して純粋な牛のみを残しています。
また、現在は見島牛の精液をホルスタインの雌に授精したF1(代雑種)が見蘭牛という名称で生産されています。肉質は優秀で枝肉歩留まりも高く、純粋種どうしの交配であるため肉質にばらつきが少ないとされています。
見島牛・・・和牛の祖先・・・ぜひとも見に行ってみたいものです!
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