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蓮沼浩のコラム
第535話:診断のむずかしさ

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2018年9月13日

 診療所の近くに新しく「カフェ」がオープンしています。5月頃から道路にのぼりが出ていて気にはなっていたのですが、チャンスがなくてスルーしていました。そこで本日笹崎獣医師と一緒に突撃。それは、それはもう超おしゃれな「カフェ」ができており、小生ビックリ。ニッカポッカはいているおっさんにはちょっと敷居が高かったです。

 平成30年9月9日に農林水産省から岐阜県の養豚場で日本では26年ぶりとなる豚コレラの発生の報告がありました。小生が獣医師となったころにはすでに日本では豚コレラの発生がなく、確かワクチネーションも丁度終了していたような記憶があります。今回の事例を色々と情報を集めて見てみると、獣医師の視点からはやはり最初の「診断」が難しそうだという感想を持ちました。

 小生は肉用牛の獣医師なので豚の診療はないのですが、基本的に小生のように若い?獣医師は豚コレラというものをこの26年間、教科書や写真を見たりしたことはあるのですが、実物を見たことはありません。本日の新聞でも8月には感染疑いとしながらも、「熱射病」と診断し、9月5日まで養豚場から出荷が続いていたと書いてあります。それまでに血液検査も実施していたようですが、9月7日の簡易検査で陽性反応がでるまでははっきりと診断がつかなかったようです。発生から少なくとも10日以上は確実に経過していそうな感じです。本当に法定伝染病の診断はあらゆる意味で難しいと感じました。最前線の現場である牧場を普段からみている獣医師として、改めて責任の重大さと怖さを感じます。

 また、今回の事例では「9月3~7日に約80頭が死んだのに県に報告せず、死骸の一部を糞と混ぜ、市内の『JAぎふ堆肥センター』に搬入していた」という文言もありました。

 「え? 何??? ウソでしょ?? え~~~~~~~!!!!」

畜産にかかわる人の「モラル」の重要性についても考えさせられてしまいました。

 ちなみに今回の豚コレラは中国で発生しているアフリカ豚コレラとは違いますのでご注意ください。

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