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蓮沼浩のコラム
第533話:戸数と頭数

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2018年8月23日

お酒を完全にやめるという選択ができる人は本当にすごいです。ただ、完全に縁を切ってしまうのはやはりさみしいものがあります。

「神よ、変えることのできないものを静音に受け入れる力を

 変えるべきものを変える勇気を

 そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください」

(ラインホルド・ニーバー)
 
 
 農林水産省が出す統計数値を何気なく見るのが大好きです。本当に多くのデータがあります。その中でやはり注目してしまうのが牛さんに飼養頭数と農家さんの戸数になります。

 肉用牛に関しては最新版では以下のようになります。

 飼養戸数は4万8,300戸で、廃業等により前年に比べ1,800戸(3.6%)減少した。

 飼養頭数は251万4,000頭で、前年に比べ1万5,000頭(0.6%)増加した。
 
 なお、1戸当たり飼養頭数は52.0頭で、前年に比べ2.1頭増加した。

 乳用牛を見てみると以下のようになります。

 飼養戸数は1万5,700戸で、廃業等により前年に比べ700戸(4.3%)減少した。

 飼養頭数は132万8,000頭で、前年に比べ5,000頭(0.4%)増加した。

 なお、1戸当たり飼養頭数は84.6頭で、前年に比べ3.9頭増加した。

 やはり肉用牛も乳用牛も「戸数」が毎年確実に減り、「一戸あたりの飼養頭数」の増加という傾向はかわりません。乳用牛は昨年まで飼養頭数がずっと減少傾向だったものが今年から増加に転じています。大規模化が進み始めています。肉用牛は2年連続飼養頭数が増加しています。この傾向については、現場を回っている獣医師の肌感覚としても非常に納得いく感じがします。後はこの傾向がいつまで続くかがポイントになります。「戸数」がどこまで低下していくのでしょうか。毎年肉用牛では1000戸以上廃業していますが、上昇に転じることはないと思います。新規就農にはこの業界はあまりにもハードルが高すぎます。既存の農場が大規模化していくことと、小規模農場が店じまいしていく傾向はしばらく続きそうですね。

 「飼養頭数」は上昇傾向にありますが、やはりこちらも大きく増加していくかは不明です。しかし、肉用牛では1800戸も農家さんが店じまいしても15000頭増加しているということは、すごいことでもあります。しかし、農場の大規模化にも多くの困難があります。疾病の蔓延、従業員さんの確保など非常に難しい面もあります。増頭するにもやはり限度があります。

 どんな規模の農場でも、しっかりとした生産基盤が安定した農場が増えますように!!幸せな牛飼いができる農場が一戸でも増えてくれますように!!たとえ店じまいするとしても、牛飼いしていてよかったと思える農場がたくさんありますように!!

 ・・・ストロング・ゼロ350ml×2缶は結構酔いますね。

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