(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第532話:培養しながらふと思う

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2018年8月16日

 金魚が泳いでいる姿をみると、本当に心が癒されます。なんでこんなに癒されるのだろうか・・・金魚はすれっからしの中年おやじの心の支えです。
 
 最近シェパードでは細菌培養をおこなっているとお話ししましたが、その検査結果を見ながらしみじみ思うことがありました。それは何かといいますと・・・・

 <牛さんの免疫は非常に重要である!>

という当たり前のことです。

培地に菌を塗って一晩おいておくと、びっしりと細菌が生えてきています。
菌を塗った時は何もなかった培地にあっという間に生えてきます。
大腸菌などは条件にもよりますが、20分で倍になります。
大したことに思えないかもしれませんが、指数関数的に増殖していくので、1日たつとそれこそ天文学的な数の細菌が増殖していることになります。菌の増える速度は凄まじく早い!一つのコロニーという細菌の集団には1mm3あたり109の細菌がいるともいわれています。そんなコロニーがどっさりありますので、それはもうとんでもない数の細菌数です。

ここでふと思いました。

病気の牛さんの体内では、それこそ凄まじい勢いで病原性のある細菌が増殖しているといこと。
爆発的に増えてくる細菌を牛さんの白血球や抗体を中心とした免疫機構が押さえ込んでいるということ。
抗生物質を投与しても、耐性のある細菌は全く死なないということ。

感受性のない抗菌薬の結果をみながら、やはり一番大事なことは牛さんの免疫力を落とさないことであるとしみじみ思いました。いかにして牛さんの免疫力をおとさないような飼養管理が実施できるかが勝負です。病気に感染しても免疫力が高いことから発症しない状態をいかにしてつくりあげるか。栄養面、環境面でいかにして牛さんのストレスという漠然としたものを感じ、それを取り除いてあげることができるか。

病気を予防するには相手(牛さん)のこと考えて気遣うやさしさが本当に大事だな~~~
やっぱり「愛」だよな~~~~

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