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戸田克樹のコラム
第184話「子牛の下痢が悩ましい!⑪~よくないミルクの原因はPart 2~」

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2018年5月9日

雨…降りすぎです。
温帯であるはずの日本は、すでに亜熱帯になってしまったのでしょうか。
これはもう、雨ではなくスコールです…。

母牛が十分なエサを食べられていないと、まずは血中の糖(グルコース)が少なくなってきます。すると、そこから生まれるピルビン酸やオキサロ酢酸も少なくなっていきます。
また、第一胃でつくられるVFA(揮発性脂肪酸)のひとつであるプロピオン酸も、十分な飼料がなければその量が減ってしまうため、そこから生じるオキサロ酢酸も減っていきます。

こうなると、材料がなくなるわけですので、エネルギー産生回路であるTCA回路はその動きがストップしてしまいます。

さらに低エネルギー状態が続くと、なんとかエネルギーを補給しようとして体脂肪動員が始まります。

脂肪酸の分解で確かにエネルギーは補給できるのですが、その中でアセチルCoAがまた生まれてしまいます。
エネルギー不足でTCA回路はストップしていますので、生じたアセチルCoAは消費されることなく、どんどんどんどん体内にたまっていきます。

そして時間がたつとこのアセチルCoAは「ケトン体」へと形を変え、血液に乗って全身をめぐるというわけです。

そしてできるのがケトン乳。ケトンは簡単にいえば「酸」なので、それを多く含む母乳をズビズビのんでしまうとあっという間に下痢をしてしまうのです。
 
 
 
 
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