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戸田克樹のコラム
第175話「子牛の下痢が悩ましい!⑦~下痢の原因はウイルスや細菌だけじゃないⅤ~」

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2018年3月7日

春一番といいながら、どう考えても台風だろう!という悪天候に襲われながら眠れない夜を過ごしました。季節は少しずつかわっているようです。そろそろスプリングライズに注意ですね(笑)
 
 
さて、これまでは「温度」と「濃度」に着目して話を展開していきましたが、最後はこちら

ケース3 時間の管理ができていません

ミルクを与える時間というのは温度や濃度に比べて、あまり気にすることがない項目かもしれません。

親付けの場合は子牛が飲みたいときに飲みますから時間なんて決まっていないですもんね。
ただ、人の手でミルクを与える場合だと、1Lや2Lなど、まとまった量を一気に飲み干すことになります。飲みたいときに飲めないわけですから、たまりにたまった空腹感に任せて一気飲みです。ここが親付けとは大きく異なる条件ですよね。よほどのことがない限り、乳房から2Lが一気に出る…なんてことはないですから。

朝と夕方の間隔が短すぎる日は飲んだミルクが下部消化管に流れきっていない、あるいは十分に消化されていない状態で次のミルクが流れ込んでくることになります。

また、逆に間隔が長すぎる日は胃が空っぽな状態が続くため、腸管活動はふか~いお休み状態になってしまっています。そんな消化管にミルクがドサッと流れ込んでくるのでこれまた消化不良となってしまうのです。

1分1秒変えたらいけない、なんてことはもちろんありません。ある程度決まった時間帯でミルクを与えると、牛さんも体がその時間を覚えてくれます(体内時計ってやつですね)。そうすると、時間が近づいてくれば「そろそろかな~♪」と、ミルクを飲む準備を体が自然と始めてくれますし、飲んだあとも次のミルクタイムまで落ち着いて消化もできて消化不良を起こすことがない

というわけです。

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