(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第503話:獣医師の人数雑感 その2

コラム一覧に戻る

2018年1月18日

 子供たちの小学校ではインフルエンザが流行していたり、気温の寒暖差が激しかったり健康には十分注意しなくてはいけない毎日です。まずはうがいと手洗いをしっかりとしたいと思います。

 さて、前回のコラムでは産業動物の獣医師が今回のデータでも減っているとお話しいたしました。では、その内訳はどのようになっているのか確認してみましょう。

 まずは市町村の家畜診療所は平成26年の70人から平成28年の71人と1人増加。農業協同組合は178人から169人へ9人減少。農業共済団体は1716人から1712人へ4人減少。企業は233人から228人へ5人減少。競馬関係団体は224人から223人へ1人減少。診療所開設者は1573人から1547人へ26人の減少。診療施設勤務獣医師は323人から320人へ3人の減少という結果になります。

 何と、市町村の家畜診療所が1名増えただけで、あとは全部減少しています。特に今回は診療施設開設者が26人と一番減少しています。実は産業動物の獣医師の中で、牛の診療施設開設者の平均年齢が62.9歳というデータがでています。施設がなくて往診だけの場合も62.6歳。普通の会社であれば定年退職していてもおかしくない年齢です。牛の個人開業施設の獣医師は全部で1390人(診療所開設者から馬の個人開業をのぞいています)いて、この平均年齢の高さです。そして、毎回この平均年齢は上がってきています。確実に牛の個人開業の獣医師の高齢化が進んでいると思います。ちなみに、この平均年齢は全獣医師の職種のなかで、無職の3875人(平均年齢67.6歳)とその他の動物の個人診療施設の被雇用者で往診される1人(65歳)に次ぐ高さです。無職の獣医師の多くは現役を引退された先生方が多いと思われますので、この牛の個人開業の獣医師の平均年齢は相当高いと思います。確かに小生の知っている、個人開業をなさっている牛の獣医師の諸先輩方はベテランの先生が多いように思います。

 現在日本は超高齢化社会に向かっています。実は産業動物の獣医師だけでなく、農業やその他の仕事でもほとんどが超高齢化に向かっており、年々生産年齢人口の減少が続いています。団塊の世代の方々が現役から退き、どこも今は超人手不足の状況が続いています。このような流れの中で、どうしていくのか。5年先、10年先の畜産業界はどうなっているのか?その時の獣医師の役割はどうなっているのか?色々と難しいことも多いと思いますが、非常に興味深いですね~。

|