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松本大策のコラム
牛さんが立てないとき

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2017年11月20日

 みなさんも、牛さんが立てなくなって焦ったことがあると思います。横倒しに寝た状態でガスが張っているときは、床がお腹の方が高くなって自力では起き上がれなくなっているだけですから、以前ビデオでご紹介したとおり、鼻を空の方へ高く上げて、そのあとその鼻を牛さんのお腹の方へ引っ張ると、立ち上がってくれますし、第一胃のガスも何もしなくても抜けてくれます。

 でもそれ以外の起立不能は、いろいろなケースがあるので、まずはしっかりと診断しなければなりません。元気はあるのか?目玉の動きは正常なのか?ケイレンや麻痺などの神経症状はないか?体温はどうなのか?体表の温度は正常か冷たいのか、あるいは場所によって違うのか?などです。あとはうんこは出ているかとか、餌はいつまで食べた形跡があるか、座っているのか横倒しになっているのか、骨折はないのか?なども大変重要です。骨折は牛さんの場合、大腿骨や肩甲骨、上腕骨、肋骨、などの場合、診断がとても難しいので、獣医さんに「急患ですっ!」といってきていただいた方がよいと思います。

 農家さんでも、下のビデオのように、しっぽを持って動かすと、しっぽの力の入り具合で、背骨や背骨の中を通っている脊髄神経の異常を見つけることが出来ます。普通のしっぽは、こちらが勝手に動かそうとしても、牛さんが力を入れて抵抗するので動かしにくいのですが、背骨や脊髄が損傷していると、牛さんはしっぽに力が入らないためにフニャフニャと動かすことが出来ます。

 ただ、今お話しした以外にも、お腹の痛みや尿石症でも立てなくなる場合があるというか、結構多いので、安易に考えず速やかに獣医さんに見てもらいましょう。

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