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松本大策のコラム
質問箱から(その3)~産後の空胎日数について~

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2017年11月10日

◎ご質問・ご相談コーナーへご投稿をいただいた質問と回答の内容をご紹介いたします。

ご相談内容

 お世話になっています。昨年、先生に講演ならびに「牛歩」のご紹介をして頂き、現在では14件の農場で空胎日数が設置前と比べ54日間短縮と順調に進んでいます。中国物産で作っていただいた繁殖用配合飼料についても、農家さんから「日本一の餌だ!」と喜んで頂いています。この地方の課題だった生産率の向上、今後がとても楽しみです。その中で先生にお尋ねしたいことがあります。

 全体の空胎日数が短縮されることは良いことなのですが、個体によっては、33日 35日 と空胎日数が極端に短い牛がいて、「こうした牛は次回の種付けに支障が出ないのか?」「無理に短縮すると牛の負担が大きくなり繁殖障害などを起こさない?」また「種がとまるのは、子宮が回復しているから大丈夫?」などの意見が交錯しています。実際はどうなのでしょうか教えてください。

回答
 最近の大型牛は、産後の回復が早いので鹿児島でも産後28日くらいで受胎するのも多いです。ただし、産前の増し飼いをきちんと実施した場合です。増し飼いしてあれば、体(卵巣や子宮も含めて)が回復しているので問題はないと思います。

 実際に、成績のよい農家は分娩日が毎年前倒しになっています。こういった点からも、気高系は優れた系統といえるのかもしれません。それから、そちら専用に設計した繁殖飼料ですが、そちらで作られている粗飼料の成分および母牛群の血液検査から、配合設計してあります。ただし、分娩前の増し飼いには、育成用飼料をお用いください。胎児の発達のために必要なタンパク:カロリー比と、母牛の日常のタンパク:カロリー比は異なるのです。そちら用に設計した育成飼料も、そちらの粗飼料や気候・温度などを勘案した設計です。

 このエサは、「農家さんと一緒に作り上げていく飼料」という点がひとつのウリです。何かお気づきの点がありましたら、遠慮なくお申し付けください。

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