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戸田克樹のコラム
第153話「ペニシリンアレルギーの恐怖~そのときどうする~」

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2017年9月20日

アレルギー症状は比較的早く現れます。
ペニシリンを投与した場合は10~30分程した後にその牛さんをよく観察してみてください。もしアレルギーを起こした場合はそれくらいの時間で外貌や呼吸数、呼吸様式に変化が生じてきます。逆に、そのときに変化がなければほとんどの場合は問題ありません。

もし、何かしらのアレルギー症状が出てしまった場合はその牛さんには「ペニシリン使用不可」です。
「アナフィラキシーショック」って聞いたことがありますよね?
ハチに刺された!というニュースでよく耳にしますが、同じアレルゲンにもう一度接触した場合、初回時よりもより速く、さらにより強く反応がでてしまう状態です。
ペニシリンの場合も同様で、アレルギーをもつ牛にもう一度投与してしまうと、より強く反応してしまう可能性があります。

アレルギーを起こした牛さんには、耳標などに目印をつけましょう。直接「PCアレルギー」と書くのも誰にでもわかりやすいので良いですね。

また、症状を呈した牛さんにはまずはデキサメサゾンの投与が望ましいです。
アレルギー反応を引き起こす物質の産生を抑えてくれる作用が非常に強く、症状を劇的に抑えてくれます。3~5ml程度で十分ききますし、子牛であればそれより少なくてもOKです。なお、免疫反応を抑制する一面がありますから、抗生剤も同時に投与してあげてください(ペニシリンやそれと構造が近いアンピシリン、セフェムなどは避けましょう)。

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