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戸田克樹のコラム
第114話「アンチバイオテック!③ Part2」

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2016年12月6日

ちなみに

リボソームにくっついてタンパク質合成阻害を行う抗生物質には
テトラサイクリン系の他に…

★アミノグリコシド系
(カナマイシンやゲンタマイシンなど)

★マクロライド系
(エリスロマイシンやアジスロマイシンなど)

★チアンフェニコール系
(フロルフェニコールなど)

といった種類も含まれます。

リボソームには30 s サブユニットと50 s サブユニットという2つの構造物 で構成されていることを前回お話ししました 。

30s サブユニットに結合するのは
テトラサイクリン系とアミノグリコシド系、

50 Sサブユニットに結合するのは
マクロライド系とクロラムフェニコール系です。

くっつく場所は違いますが、どちらもタンパク質合成の作業を邪魔する作用を持っています。

実はこのリボソーム、わたしたちや牛さんの細胞にも存在して、やはり「タンパク質の合成」という大切な仕事を担ってくれています。

抗生物質を投与したら、牛さんに必要なタンパク質も作れなくなるの!?

という心配はご無用です。
牛さんのリボソームは40Sサブユニットと60Sサブユニットという2種類の構造で構成されています。細菌のそれとは構造が違うのです。細菌は30Sと50Sサブユニットでしたもんね。

そのため、先に示した抗生物質は「細菌のリボソームはジャマするけど、牛さんのリボソームはジャマしない」という、なんともすばらしい働きをしてくれるのです。

つづく

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