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数面麻子のコラム
第134話:腟鏡で覗いてみると

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2016年7月1日

 繁殖母牛の検査をする場合、やはり一番は卵巣の状態に注目することが多いと思います。卵巣のサイズは問題ないか、黄体がきちんとできているか、・・などなどチェックすることはいろいろあります。ですが、意外と見落としがちなのが腟の状態です。腟鏡を入れようとすると牛が暴れる、用意するのがちょっとめんどくさい、などで見落とされがちですが、腟の状態を知ることは卵巣の状態を知る大切なサインの1つになります。卵巣には大きな卵胞があるのに、腟の状態はどうやら発情期ではないとなると、正常なホルモン分泌がないあるいは弱い可能性があります。そうなると、その大きな卵胞はもしかしたら卵胞嚢腫で卵巣に居座っているだけかもしれません。卵巣や腟の両方を観察することでより多くの情報を得ることができます。

 それ以外にも、腟鏡で覗いてみると粘液が汚れていたり、尿が溜まっていたりなど不受胎の原因になる症状にも気づくことができます。

 腟鏡を使ってより正確に牛さんの状態を把握し、的確な繁殖治療を心掛けたいところです。

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