(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
治療マニュアルを使う方への注意

コラム一覧に戻る

2016年5月9日

 こんにちは、今、東京日本橋でコラム書いてます(今日は5月3日です)。
 さすがに連休で空港や駅は人であふれています(東京はいつもか?)

 ところで、たまに「シェパードホームページの治療マニュアルを見てやってみたけど、どうもぱっとしない」という相談をお受けすることがあります。
 まあ、「病気は2つと同じものはない」という方もいらっしゃいますが、それは厳密な診断のお話しで、治療となるとマニュアル的な対応で、かなり効果を上げることができます。

 それでは、なぜ「いまいちパッとしない」という相談が来るのでしょう?これまでお受けした相談で、詳しく聞き取りすると、たいていの場合「自己流のアレンジをしている」ケースが多いのです。
 たとえば、骨軟症の治療マニュアルで、ビタミンD3を5ml+ゼノビタン2ml皮下注(もしくは筋注)して、ドン八ヶ岳D3もしくはドン八ヶ岳ADEを成牛で50g×10日間飼料添加してください、と書いてあります。しかし、注射だけで、ドン八ヶ岳の添加をしていないケースはとても多いのです。

 ビタミンD3というのは、血液中のカルシウム濃度を一定(約10mg/dl)に保つ働きがあります。消化管の中のカルシウム濃度が高ければ、消化管からカルシウムを吸収して血液中のカルシウム濃度を上昇させ、上昇しすぎを防ぐために骨にカルシウムを蓄えてくれます。
 しかし、消化管の中のカルシウム濃度が低い場合(ドン八ヶ岳を与えていない場合など)は、血液中のカルシウム濃度を保つために、逆に骨の中のカルシウムを溶かしだして血液中の濃度を維持しようとするので、かえって骨はもろくなってしまうのです。
 それだけではなく、骨軟症と言っても骨軟骨症から骨粗鬆症まで含めてお話ししていますから、それらの治療ではドン八ヶ岳の主成分ともいえる亜鉛と銅のバランスも極めて重要になるのです。

 骨軟症を一例として出しましたが、脂肪壊死にしてもガスにしても、シェパードでさんざん失敗を重ねて、ようやく形にしたものです。できるだけアレンジしないで使っていただきたいと願っています。
 もしもアレンジしたいときには、最寄りの獣医さんかシェパードまでご相談ください。抗生物質と解熱剤の併用などの際は、重篤な副作用の出るケースもあります。お薬は同時に毒でもあるのです。使用やアレンジは慎重にしましょう。

|