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数面麻子のコラム
第124話:お産どらま

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2016年4月1日

 お産は1頭1頭本当に様々です。本当に安産からとてつもない難産まで、どれも一度きりの本番です。先日も今までお産に呼ばれたことのない近所の高校から難産介助の要請。行ってみるとやはり本当に難産でした。男性2人さらに滑車付きでひっぱってもなかなか出てきません。おまけに子牛の舌は真っ青・・・・。蹄をつまんでも全く反応がないので、正直もう駄目だと思いました。もう一度状態を立て直して再度思いっきり引っ張ったところ、やっと子牛の頭が出てきてくれました。そして、最後にもうひと踏ん張りしたところ、子牛の体が完全に脱出。しかし、子牛の目を見てみると、・・・なんと表面が白くなっており、やはり死んだか、と思ったら子牛がほんの一瞬動いたのが分かりました。そっからはとにかく人間3人でその子牛が呼吸をするようにマッサージしたり注射したりバタバタ。その苦労が報われ、子牛はとうとう頭を上げました。

 みんなで良かった良かったと話していたら、介助した高校の先生がおかしな動作をするのでどうしたのかと思ったら、実はぎっくり腰をやっていたとのこと!それにも関わらず、本当に必死になって子牛の救助をしてくださいました。

 お産は繁殖農家さんにとって待ちに待った瞬間です。その瞬間に立ち会わせてもらえるのは本当に緊張すると同時に幸せを感じる時でもあります。

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