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伏見康生のコラム
NO.274:サーモグラフィ

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2014年3月12日

ある農場のハッチエリアで、テストレンタルしているサーモグラフィを見て、使用してきました。

NO.274:コラム サーモグラフィ_01

この農場でのサーモグラフィの使用目的は、耳根部の熱を発見し中耳炎の早期発見につなげようというものです。

何年も前から機械の存在は知っていましたが、実際に見てみると予想していたよりもずっとコンパクトで、対象物にレンズを向けるとタイムラグもなく温度の映像が出てきます。
ハイテク感が半端なかったです(笑)!!
寒冷な牛舎の中で、もそもそとうごめく黄色と赤の生物が画面に映し出され・・・まるで自分がプレデターになったみたいです( ̄O ̄;)

NO.274:コラム サーモグラフィ_02

さて肝心の使用感ですが、サーモグラフィによる耳根部の温度測定は、測定場所の環境条件(気温、日照等)、また測定する時間帯(早朝、午前、日中、夕方、深夜)によって差が大きい可能性があると思われました。

環境条件に関しては牛舎ごとのキャリブレーションである程度対応可能ですが、昼過ぎや飲乳後など代謝が向上している時には多くの牛で耳根部の温度も上昇してしまいました。従って、早朝や夕方遅くなど、子牛が落ち着き代謝が落ちている時には良い評価ができるかもしれません。

一方で、左右の耳根部の温度差や、個体間の顔面の温度差はどの時間帯でも比較的明確に捉えることができ、中耳炎の起こっている側の耳や、熱のある子牛の摘発のための相対的な評価には使える可能性があると思いました。

NO.274:コラム サーモグラフィ_03
人の目は一番大事ですが、牛に触れることなく発熱を早期に発見できるサーモグラフィは使い方次第で農場と獣医師の大きな助けとなるポテンシャルを秘めていると思いました。

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