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加地永理奈のコラム
GnRHとhCGの違い

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2026年8月5日

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繁殖母牛の診療をしていると、排卵を促す注射を打つことが多くあります。
この時によく使われるのは、GnRHという種類のホルモン剤です。
スポルネンやコンセラールといった商品名で販売されています。
排卵障害や嚢腫の治療、定時人工授精でも使用されます。

また、この他にも排卵を目的として打つ薬があります。
hCG製剤といって、ゴナトロピンという商品名で販売されています。
人工授精後の黄体確認時に、卵胞と黄体が共存していた場合、その卵胞を排卵させて2つめの黄体(副黄体)を作らせる目的で使われることがあります。

どちらも排卵を促す薬ですが、その作用の仕方は異なります。

まずGnRH製剤は、脳の下垂体に「LHというホルモンを出しなさい」と命令を出す薬です。
すると牛自身がLHという排卵作用のあるホルモンを分泌し、それが卵巣に働きかけることで排卵が起こります。
例えるなら、監督が選手に指示を出してプレーさせるような仕組みです。

一方のhCG製剤は、LHの代わりとなって卵巣に直接作用します。
つまり、脳を介さずに排卵を促す薬です。
こちらは仲介が入らないので、GnRH製剤では反応しなかった症例でも効果を発揮する場合があります。

ただし、hCGの「h」とは「human」のことで、実はヒト由来のホルモンです。
そのため、同じ牛に何度も繰り返し投与すると、体が異物と認識して抗体を作り、薬の効きが弱くなることがあります。

この点がGnRH製剤との大きな違いです。
GnRHは牛の体にもともと存在するホルモンであるため、繰り返し使用しても抗体ができにくく、現在の繁殖管理ではよく使われる排卵誘起剤です。

共通点としては、どちらも排卵できるサイズの成熟した卵胞がないと反応しません。
直腸検査やエコー検査などをして、1cm以上の卵胞があるかどうか確認をしましょう。

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