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戸田克樹のコラム
第548話「大丈夫判断!~分娩編②~」

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2026年5月21日

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それでは、分娩が始まった母牛がいた場合にこれなら大丈夫!と判断してもよいポイントをいくつかご紹介していきます。文章量が多いので2回に分けてご紹介します。お時間のない方は項目だけでも目を通してみてください。

① 分娩予定日と大きなずれがない
AIやETから分娩予定日を予想しますが、実際は予定日通りに生まれることは少ないですよね。たいていは予定日を数日過ぎてからお産は始まります。ただ、中には早産や10日以上も遅れる長期在胎もありますよ。早産であれば、双子であったり早期胎盤剥離であったり、速やかな牽引が必要な可能性が高いです。ときに子宮頸管の拡張不全が起こることもあるので、子牛が小さくても難産になることがあります。また、長期在胎の場合は過大子による難産の可能性が高まります。早産も、長すぎる分娩遅延も要注意です。ただ、逆に言えば、ほぼ予定日通りに分娩が始まった場合、それは「大丈夫なお産」の可能性が高いと言えます。分娩兆候を確認したら真っ先に予定日を確認しておきたいですね。
② 陣痛後に破水や胎仔の足が確認できた
背中を曲げたり、そわそわしたり、お産が始まっている様子があるけどしばらくしても破水がない場合はちょっと注意が必要です。もしかしたら子宮捻転を起こしているかもしれません。軽い捻転であれば、破水後にお産が進まない(子牛が見えてこない)ことで発見されることが多いです。一方で、重度の捻転の場合は破水さえ見られず、破水もないのにひどく腹を痛がる様子(疝痛症状)が見られることもあります。陣痛の様子に異常がなく、破水もあり、少しずつでも子牛の足が見えてくるようであれば、お産は順調に進んでいる「大丈夫なお産」でしょう。
③ 破水後の経過時間(お産の進み具合)
破水があったのに、あるいは足先や鼻先が見えたのに、その後なかなかお産が進んでいない場合も要注意です。胎子の姿勢に問題があるのか、母体の産道に問題があるのか、何か異常が起きている可能性があります。教科書的には二次破水が見られてから初産の場合は2時間、経産牛の場合は1時間以内に子牛が生まれるとされていますので、この時間がひとつの目安となります。ただし、あくまでもこの時間は目安です。実際に、この時間を超えていなくても子牛のバイタルが弱まった例や、死亡事故につながってしまったケースも少なくありませんのでご注意ください。二次破水(しろっぽい膜の出現、その膜が破れた後にとろみのある透明な液体の排泄)後に少しずつでも子牛の足や鼻先が見えてきていれば、お産は進んでいますので「大丈夫なお産」と判断してもよいでしょう。なお、一次破水がなくいきなり二次破水が起こる場合もありますので、この点も要注意です。

つづく

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