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加地永理奈のコラム
小耳症の子牛

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2026年4月8日

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とても珍しい症例の子牛に出会いました。

この子牛は、左の耳介は正常ですが右の耳介だけ圧倒的に小さく、とても耳標が付けられるサイズではありません。また、耳の穴(外耳道)も確認できませんでした。

これは、「小耳症」と呼ばれる先天性の奇形です。
ヒトでは、多くの場合で外耳道閉鎖や中耳の奇形も伴うため、聴力にも障害が出ることが報告されています。

原因としては、妊娠から3ヶ月未満の胎子の発生段階で異常があると、このように生まれつき耳の形が小さく生まれてきてしまうことがあるようです。
耳は、胎子の時期に「鰓弓(さいきゅう)」と呼ばれる組織が複雑に成長して形成されます。
この過程で何らかの血流障害や外部要因が加わると、耳介の低形成や外耳道の閉鎖が起こります。

また、ヒトや動物の発生過程において、耳(耳介・中耳)と顎、口の中(口蓋)はどれも「第1・第2鰓弓」という共通のルーツから作られます。
そのため、小耳症があれば、顎の低形成や口蓋裂という口の奇形も同時にある可能性があります。

この子牛については、口蓋裂はなくミルク飲みも非常に良いのですが、音に対する反応が鈍く、やはり難聴はありそうな様子です。
今は特に支障は出ていませんが、牛は本来音に敏感な動物なので、難聴があることで群編成後に何らかの支障が出るかもしれません。
逆に、ストレス負荷がかかりにくいというアドバンテージになるかもしれません。

この子牛にその他に見た目の奇形はなく、心音にも異常は見られなかったため、とにかく元気に育ってほしいです。
注意点としては、死角からの接近だけはせず、視界に入ってから触れるように心がけると良いでしょう。

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