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池田哲平のコラム
「牛の解剖50: 第二胃(1) ~小さい頑張り屋さん~」

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2010年8月27日

 ウシの4つある胃の中で、最も大きいのが第一胃というのはよく知られています。では、最も小さいのはというと……それは第二胃です。その大きさは胃全体の容積の約5%に相当すると言われています(第一胃は約80%)。
 そんなに大きさの違う第一胃と第二胃ですが、構造や機能の面から見るととても密接な関係があり、二つをまとめて「第一・二胃」と書いてある教科書も多いです。第一胃は食物を撹拌し、微生物発酵によって産生されたVFAを粘膜面より吸収しますが、第二胃はこの第一胃の機能を補助的に行っているのです。体の中の位置としては、第二胃は第一胃の前方(口側)にあり、食道が終わる出口の直ぐ下に位置しています。そのため、食道から送られてきた食塊は重力にしたがってまずは第二胃に入るのです。その後、第二胃の運動によって第一胃に送られることで、大きく撹拌されて微生物発酵をうけます。
 この第一胃と第二胃の位置関係は、ウシ(反芻獣)の食性にとてもうまくフィットしている一方で、色々とやっかいな事の原因にもなっているのです。何事にも良い点・悪い点がありますが、次回からは第二胃の優れた点とそうでない点をそれぞれ紹介していきたいと思います。
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