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松本大策のコラム
シコリのお話

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2019年3月18日

 肥育農家のみなさんは、一度くらいはシコリの被害に遭われているのではありませんか?長年、シコリ(脂肪置換症)のことを考えていたのですが、最初はビタミンAとか、ビタミンEの不足と関係があるのではないか?と考えていました。
 しかし、14ヶ月齢で出荷される十勝若牛でも脂肪置換症が出るのを見て、???となってしまいました。というのも、十勝若牛の飼料には6,000IU/kgものビタミンAが含まれているからです。

 沖縄で作出しようとしていた種雄牛の間接検定牛の大半が脂肪置換症だったため、遺伝的なものが疑われて、この種雄牛は供用中止になったという事例に立ち会ったこともあり、遺伝的な原因が強いのか?と疑った時期もあります。
 しかし、その後シコリ牛の系統を調べても遺伝的な偏りが見られず、またもや???状態でした。

 昨年になって、僕のコンサル先で、現地の獣医さんが導入の予防注射を打った牛8頭すべてこぶし大から小児頭大のゴリゴリした注射痕があって、その後を心配していました。出荷した際に確認したところ、注射痕があった場所がいずれも重度の脂肪置換症になっていました。

 この牛さんたちは、注射痕の場所も撮影していましたし、耳標も控えてありましたので相関関係は確実ですし、注射痕の牛全頭でシコリが発生していたので、因果関係もまず間違いないと思います。

 これらの事故は、注射の打ち方が間違っているために起こります。これについてはまた後日!

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