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戸田克樹のコラム
第226話「長(おさ)がいなくても回る現場づくり①」

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2019年3月13日

個人で数頭の牛を飼育する牛飼いさんが少なくなる一方、規模拡大を推し進める農場は増加し続けています。これまでは「一人、もしくは家族で休みなく働く」ということが珍しくなかった畜産農家さんの働き方も少しずつですが変化しています。会社化したところは従業員さんを雇用しますが、そこには勤務時間や休日の管理などの「牛を飼う」ということとは別な業務も発生してきます。これまでの働き方の常識が通用しない場合も発生している現場もあるのではないでしょうか。

これまで従業員として働いてきた方であっても、新たに若いスタッフが入社してくれば先輩としていろいろな仕事を教えなければいけません。規模拡大に比例して作業量は必然的に増えていきますから、チームのメンバーと協力しながら効率よく仕事を進める必要が出てきます。さらに勤務年月の長い人であれば必然的にチーム長、あるいは牧場長のような責任のある立場に就かざるを得ない場合も発生するでしょう。

こうした状況下では「他の人が仕事をうまくこなしてくれない」、「説明してもなかなかきちんとやってくれない」といった悩みを抱えていらっしゃる方も少なからずいらっしゃいます。驚いたのは、「自分でした方が早いから」と、さまざまな業務を一人で抱えこんでしまい休日でも農場に出てくる場長がいたことです。これでは日々の仕事に支障がないとしても、仕事内容に不公平さが生じるため、長期的に考えるとあまりいいこととは言えません。

目指すべきは「あなたがいないと業務に支障が出る牧場」ではなく、「あなたがいなくても現場の作業が滞りなく回っていく牧場」です。
では、その実現に向けて何をしていく必要があるのでしょうか。少し考えてみましょう。

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