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笹崎直哉のコラム
マイコプラズマについて その1

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2019年3月12日

 皆さんはマイコプラズマという病原体をよーくご存知かと思います。農家さんの頭を悩ませる厄介者ですし、おそらく特別なバイ菌といったイメージをお持ちかと思います。たしかに通常のバイ菌と違うところが沢山ありますが、今回は2点だけ覚えてもらいたいです。

 1点目は通常のバイ菌は細胞壁という固い壁で覆われていますが、マイコプラズマはこれを持たず、柔らかい細胞膜と呼ばれるもので覆われているということ。2点目はサイズに関してです。マイコプラズマは通常のバイ菌と比較すると小型でおおよそ1/3程度とされています。これが牛さんにとって大変迷惑な話になります。なぜかというとマイコプラズマは「形姿を変えて、体のさまざまな場所に潜んで感染を広げる」恐れがあるからです。実際にマイコプラズマが原因起こる疾病は様々で、乳房炎、中耳炎、肺炎、関節炎等が挙げられ、これまた感染力が強いので早期発見と早期治療が非常に重要になります。

 では早期発見に必要なのは何でしょうか。普段から牛さんを観察し、行動や体の違和感に気付くことですね。今回、そのチェックポイントを具体的に箇条書きしていきます。

 ・片耳が垂れており、よく耳を振る。垂れている側の目の周りが腫れぼったい。
 ・耳に耳標を装着したら、やけに耳を振るようになった。
 ・前足の関節が腫れてきた。
 ・ミルクを飲んだらお腹にガスが溜まってしまう。
 ・スターターをよくこぼし、食べ散らかしてしまう。
 ・唾液を口からこぼすように出している。

 次回よりこのチェックポイントとマイコプラズマの動態について説明していきます。

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