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笹崎直哉のコラム
膣鏡を使って分かること

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2019年2月26日

 皆様お疲れ様です。今回のテーマは膣鏡なのですが、この医療器具にはいつも助けられてばかりです。

 人工授精師さんであれば、必需品といえるくらいお母さん牛の発情の発見には欠かせないツールです。膣鏡なら直腸検査で分からない頸管の開き、膣の充血具合、粘液の色調や量などを知ることが可能です。

 さらに発情中であれば直腸検査で卵巣を触りすぎると、出血を招いてしまうことがあり受胎率の低下につながりますので、膣鏡での判定が重要になってきます。

 また大きな赤ちゃんを産んだり、お産のときに産道の拡張が弱かったお母さん牛は、無事お産が終わっても膣鏡で中を覗いてみると、産道圧迫で膣が裂けて一部が裂創になっていたり、アザのように粘膜が紫色に変色していることが多く、抗生物質と消炎剤の投与をしなければならないケースがあります。

 また繁殖障害の牛さんを治療する際に直腸検査の前に膣鏡で覗いてみると、、、

 このように膣壁や頸管付近で膿の付着がみられ、子宮内膜炎や蓄膿症を起こしている牛さんを発見できることがあります。子宮内膜炎は軽症であれば、直腸検査のみでは判断しにくいため、膣鏡があればとても助かります。卵胞嚢腫になっている牛さんは子宮内膜炎を併発していることが多いのでこれもセットでチェックしてみてください。

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