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蓮沼浩のコラム
第545話:アニマル・ウェルフェア その5

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2018年11月22日

 ここの所一気に鹿児島も寒くなってきました。子牛の呼吸器病も一部では増えてきています。冬場の寒さ対策をしっかりとはじめないといけませんね。家の金魚もそろそろ水温が10度を切り始めているので冬支度しなくては!

③物理的及び熱の不快からの自由

 この「物理的不快」をどのように解釈するかということがちょっと難しいですが、例えばグジャグジャになった牛床とか、牛舎内に飛び出ている金具とか、太陽光線のほとんど入らない暗い牛舎や、逆に直射日光がガンガンあたる牛舎などもこれにあたるかもしれません。「熱の不快」に関しては暑熱ストレスをすぐに思いつきますが、今からの時期のように寒冷ストレスも考えないといけないと思います。これらに関してはまさにアニマル・ウェルフェアで定義されている「快適性に配慮した家畜の飼養管理」を意識できるかにかかってきます。

 しかし、この「配慮する」ということが非常に難しいことになります。牛さんの気持ちになって、彼らの状況を想像することが非常に重要になります。

 例えば、床がグチャグチャで消毒もしたことがなく、ミルクの温度も「感」で作り、哺乳瓶や乳首の消毒もしない場合などは、自分が管理している子牛がか弱い赤ちゃんであるということを想像できていないのではないでしょうか?相手は赤ちゃんであるということを認識して「配慮」していますか?直射日光がガンガンあたっているのに、寒冷紗などをつけてあげるなどの対処ができないのも想像力の欠如といえるかもしれません。

 毎日同じ場所で仕事をしていると、気がつかない内にこの「配慮」というものがどんどん欠落していきます。彼らは物言わぬ動物です。けなげにじっと我慢しています。小生は色々な牧場を見ているので、あちゃ~~~~~全然「配慮」していないな~~~、などという事例は枚挙にいとまがないくらい見ています。まずは自分の牧場をじっくりと見てみてください。牛さんの快適性に「配慮」している状態ですか?物理的及び熱の不快はないですか?このあたりの感性は非常に重要ですよ。そして、色々な制約があり、大変なのは100も承知ですが、自分の感性に引っかかった気になるところは出来るところからでいいので、まず手を付けてみてはどうでしょうか?時間はかかるかもしれませんが、必ず牧場の改善になりますよ!

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