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笹崎直哉のコラム
ルーメンについて考える その6

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2018年11月20日

 皆様お疲れ様です。鹿児島県は朝晩の気温が10℃を切ってしまい、本格的に冬に向かっています。コツコツと継続しているダンスの練習も、外ではコンクリートが冷たく寒さでモチベーションがなかなか上がりません。しかし来月で今年6回目のイベント出演を控えているので、最後まで気を抜かず頑張っていこうと思います。皆様も体調にはくれぐれもお気を付けください。

 さて今回は子牛のルーメンについて考えていきます。

 赤ちゃんのとき、つまりお母さんのお腹の中にいるときは胎子のルーメンには微生物はおりません。しかし、生後24以内には時間以内には初乳、飲水、敷料(稲わら、ノコクズ)、空気伝播を介してルーメンには微生物が侵入し住み着きます。産まれてわずかの子牛のルーメンpHは6前後で、酸性に傾いています。その後人工乳(スターター)の摂取に伴い唾液分泌が増加すると、pHは微生物にとって快適な微酸性へと変化していきます。そしてルーメンの容積に関してですが、子牛が粗飼料の摂取をスタートすることで、繊維質の物理的な刺激により発達が促進されます。

 また牛さんのエネルギー元となるVFA(揮発性脂肪酸)はルーメン内の粘膜の発達を促進します。哺乳期では離乳食であるスターターによりVFAを産生するので早い段階からミルクも大事ですが、十分な量のスターターを食べさせてあげるのが重要です。実際に子牛の解剖に立ち会わせてもらった際、スターターをしっかりと食い込んでいた牛さんに関してはルーメン内粘膜はタワシのようにザラザラしており十分に発達していました。改めてスターターの重要性を実感したところです。

つづく

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