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戸田克樹のコラム
第205話「アフリカ豚コレラと豚コレラ④」

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2018年10月10日

フラビウイルスが感染原因となる豚コレラではワクチンがありました。では、感染ウイルスがアスファウイルスであるアフリカ豚コレラではどうでしょう。

こちらは治療法がないのはもちろん、ワクチンさえも存在していません
つまり、「発生してしまったらもうどうしようもない」ということです。できることは発症したと思われる豚を次々に隔離し、淘汰してウイルスの拡大を防ぐことだけ。

発症率、致死率がどちらも高い病気であるだけに、治療や予防に向けて我々ができることがほとんどないということは非常につらいものがあります。
現在、海をはさんですぐ隣国の中国にまで感染報告は拡大しています。発生国からの豚肉や豚肉加工品、あるいは発生国からの帰国便でだされる機内食の持ち込みといった食品からウイルスが侵入する可能性があります。もちろん、海外で飼育されている豚に触れた、あるいは養豚場に接近した人の荷物などに付着したウイルスが国内に侵入する可能性も十分にあります。ウイルスはどこにいるのか発見することはできません。私たちが発見できたとき、それはすでに被害が出た後です。
国内では過去にアフリカ豚コレラが発生した事例がなく、どれほどの被害が生じるかもわかりません。見えない敵との闘いは現在では私たち人類が完全に劣勢にあるといえます。

日本でこの病気を出さないためにも、海外渡航からの帰国時には「何か持ち込んでいるかもしれない」という意識を常に持ち、自身の荷物や体や洋服などに十分な注意をしていかなければいけませんね。

現在のアフリカ豚コレラ発生状況は、農林水産省のウェブページに掲載されています。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/asf.html

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