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戸田克樹のコラム
第203話「アフリカ豚コレラと豚コレラ②」

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2018年9月26日

続々と野生イノシシの死体から豚コレラウイルスが検出され、ついに5頭となりました(9/20現在)。豚コレラ発生の養豚場では殺処分が実施されましたが、畜産業に従事する人間には見ているだけでも非常につらいものがあります。

アフリカ豚コレラをもたらすアスファウイルスも、豚コレラをもたらすフラビウイルスも感染動物やウイルスを保有しているダニやウイルスを含むよだれや糞尿などとの接触により感染が成立します。空気感染はしないのですが、豚舎内では豚同士の距離が密接なため、急速に感染が広がったのではないでしょうか。

感染した野生のイノシシが豚舎内の豚と直接接触することはまずないでしょうから、イノシシから感染したものだとすれば、豚舎に接近したイノシシの体表についていたダニが豚舎内に侵入したか、イノシシの被毛やよだれ、排せつ物などとの接触が感染経路として疑わしいです。

感染の拡大を予防するためにも、豚舎周囲のイノシシの死体、もしくは豚舎内の死体の速やかな処理が重要です。キツネなどの食肉性野生動物がこれらの死体を持ち運ぶと、ウイルスが死体とともに移動し、感染拡大につながる危険性があるからです。

岐阜県では25日から感染状況調査のための野生イノシシ捕獲調査が開始されました。
21日を最後に感染野生イノシシの死骸発見はされていないようですが、今後はわなにかかったイノシシについても岐阜県の中央家畜保健衛生所で遺伝子検査を実施していくようです。

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