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笹崎直哉のコラム
盲腸の病気について その2

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2018年8月7日

 代表的な盲腸の病気「盲腸拡張症」について話をさせてもらいます。この病気は盲腸単独で発生するのではなく、他の消化管の病気から併発するケースがほとんどです。

 例えば配合飼料を多く与えることで、ルーメン内の異常発酵が発生します。その際にエンドトキシンやヒスタミンなどが上昇し、それが第二胃から始まって四胃、小腸という感じで下部の消化管へ流れていきます。もちろん有害なものですので消化管を痛めつけてしまい、消化管そのものの運動が抑制され、内容物の滞留時間が必然的に延長してしまいます。この延長時間が再発酵を誘引してしまい、結果的にガスが溜まり膨らんでしまい拡張、変位、時には捻転を起こしてしまうのです。

つまり盲腸拡張症はルーメン内の異常な発酵や第四胃変位、食滞の合併症あるいは継発症として考えられます。なので発見時には牛さんの「ルーメンの状態」、「エサの食べ方、与え方」に関してはしっかりとアプローチをしていかなければなりません。

 牛さんの症状としてまずおさえていきたいのが排糞状態です。便性状も重要です。発生初期であれば、水様性または泥状の下痢便の少量排泄が認められますが、進行しているケースだと排糞量は減少どころか途絶してしまいます。

 また脱水症状も顕著に表れ、食欲も低下し腹部を蹴ったりする疝痛症状も起こすことが多いです。

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