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笹崎直哉のコラム
細菌培養にチャレンジ その1

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2018年6月12日

 「牛さんの臨床ではもっとEBM(Evidence based medicine)といった考えを追求し、実践していこう!!」。このお言葉は当院の蓮沼所長が口癖のようにスタッフに伝えていることです。今回は農家さんに、根拠に基づいた治療を提供できたのでは?と実感した症例とそれに携わった検査について紹介致します。

 とある日「生後6日齢の子牛が左耳から白い膿を出している」との連絡を受け往診に伺ったのですが、明らかに中耳炎症例を思わせるかのような症状でした。左耳がやや下垂し、耳の体毛は濡れ、膿が付着しており左目の瞼が腫れておりました。そのうえ膿は大量に付着しており、非常にやっかいそうな予感。現症より中耳炎、外耳炎と診断しマイコプラズマが悪さをしているのでがないかと考え、ニューキノロン系の抗生物質を選択し、耳洗浄を実施しました。しかし食欲などの全身症状は改善傾向にあるものの、耳介には毎度膿が大量に付着し、消失することはありませんでした。なぜ毎回排膿するのだと疑問が募るばかり。

 「どうしたものか、、、。今治療で使っている抗生物資は効いていないのでは?よし細菌培養をやってみよう!!」ということで、毎回洗っても取り切れない問題の膿をスワブで確保し、血液で満たされた寒天培地に塗り培養させました。なんとか培養に成功したので、引き続き抗生物質の感受性試験へ。

 結果はペニシリン系の抗生物資に対して耐性を持たず感受性があることを確認したので(キノロン系も感受性があり、それに対しテトラサイクリン系は感受性なしでした。)、農家さんに結果を説明。そしてペニシリンの朝晩1日2回注射を行うことになり、何日間か継続して行ってみました。すると見事に排膿はなくなり子牛ちゃんは元気、食欲ともに良好。この結果に関して、スタッフ全員で大喜びしました。ここ最近では初の検査方法だったのでとても感動しました。

 次回は検査手技などを説明致します。

つづく
 
 
 
 
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