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蓮沼浩のコラム
第515話:スプリングライズ

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2018年4月12日

 最近は本当に天気が良い日が多く、往診するときに気分がいいですね。車で走っていると、本当に色々なところでお花が咲き乱れています。嗚呼、癒される・・・。しかし、農場に到着すると、一気に現実に戻されます。ひい~~~~。

 ここに入ってきて、本当に下痢の治療が多くなってきました。気候はいいのですが、子牛の下痢の治療が増えてきている感じがします。戸田獣医師もコラムに書いていますが、これは暖かくなってくることで病原性微生物の活動が活発化してくることが原因と言われています。昔から「啓蟄(けいちつ)」と言う言葉があります。冬籠りの虫が這い出るという意味があります。大体3月上旬ごろになります。獣医さんの間ではスプリングライズということもあります。先人たちの使ってきた、これらの言葉の重みをひしひしと感じますね~。

 今回診療していて思うことは、たしかに下痢の治療は多くなってきているのですが、全く出ていない農場もあるということです。結構大きな牧場でもほとんど出ていないところもあります。やはり、そのような牧場は衛生管理を徹底しています。敷料交換、畜舎消毒などを定期的にしっかりと出来ています。改めて衛生管理の重要性を再認識しました。もちろん病原性微生物だけでなく、母牛の粗飼料の問題などもあると思いますが。

 突然ですが、小生金魚が大好きです。かなりはまっていたこともあり、相当お金をつぎ込んだこともあります。カミさんはマジ切れして、心底あきれ果てていました。で、金魚の世界でも寒い冬が終わり、暖かい春になると病原性微生物の活動が活発になってくるので、飼育水を一度きれいにする作業があります。これを「床直し(とこなおし)」と言います。金魚の疾病予防のために非常に重要なテクニックとなります。牧場でも、啓蟄の時期に一度牛舎の環境を敷料交換や消毒などを行い、きれいにするということもいいかもしれませんね。冬に牧場に潜んでいた病原性微生物を一度やっつけることができれば少しはよくなるのではないでしょうか。

 そういえば先日笹崎獣医師が「いや~~~蓮沼先生、僕はスプリングライズですよ!ス・プ・リ・ン・グ・ラ・イ・ズ!!」と興奮して話していました。意味がわからず何か彼が病気に感染したのかと思ったのですが、それにしてはテンションが高く、異様に元気です。線虫に感染したようにも見えないし、本来の意味とは別に何かいいことがあったのでしょう。いいなあ~。

 家畜保健衛生所からは韓国で発生している口蹄疫の情報が入ってきています。このウイルスもスプリングライズがあるのかもしれません。口蹄疫はこれからの時期が非常に危険な時期となります。こちらの方はしっかりと気を引き締めて対応しないといけませんね。

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