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笹崎直哉のコラム
いざ直腸検査トレーニング その2

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2018年1月23日

 では灰色の便は?農家さんには「ネズミ色の便が床に落ちとるがよ~」という稟告で呼ばれることが多いのですが、これは肥育ステージの変化に伴い誤って配合飼料を急激に変えたり、増やすことなどで食欲不振になった牛さんなどでよくみられる便です。きっぱりと灰色便でないこともありますので、灰色が混じった色といった方が良いかもしれません。これはルーメンの発酵スピードが上昇し、ルーメン内の酸度が強く6なった状態、つまりルーメンアシドーシスになったときに観察されるうんちです。

 次に黄色の便は?これは黄疸のサインかもしれませんよ~。肝臓が弱っている牛さん、溶血を引き起こす感染症(レプトスピラ症、ピロプラズマ病など)にかかってしまった牛さんの直検すると手袋に綺麗な黄色便がついてしまってしまいます。そんなときは「ん?肝臓ちゃん危険じゃない?」という不安と同時に「血液疾患におちいってないよね、、、」という恐怖で頭の中がいっぱいになってしまいます。

 それでは緑色の便は?これも非常に厄介でございますよ~。肥育農家さんで「起立不能の牛がいる」と呼ばれて、直腸検査で緑色の便がとれたとき私はまず尿石症を疑います。といいますのは腎臓が悪い牛さんは緑色の下痢便をすることが多いからなのです。尿石症以外にもバイ菌感染による膀胱炎や腎炎になっていないか、すでに進行が進んでいて腎臓が機能しておらず、血液に高濃度の窒素が混入した尿毒症になって死を目前としていないか慎重に診断していきます。

つづく

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