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戸田克樹のコラム
第149話「ペニシリンアレルギーの恐怖~ヒスタミンの恐怖~」

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2017年8月23日

今日から大学院の夏季セミナーで鳥取大学へ向かいます。目的地につくころは夕方です♪
そんな日の朝3時過ぎにまさかの帝王切開適応の難産が発生!笹崎先生と乗り切りましたが、すこぶる眠たい現状でございます。
あれ??目があかない…。まぶたがおもた…い…な………。グー。Zzz…。
 
 
IgE抗体に引き寄せられたマスト細胞が分泌した「ヒスタミン」。
(もちろん、これ以外にもいくつかの炎症反応を引き起こす物質を放出するのですが、今回はこのひとつに着目します)
これが体をめぐると、どうして目の周りや外陰部が腫れてくるのでしょうか。

血管透過性の亢進
ヒスタミンの特徴的な作用は「血管透過性の亢進」と、「平滑筋の収縮」です。今回はまず前者に着目していきます。
牛さんも私たち人間と同じように体中に血管がはりめぐらせていて、血液がその中を流れています。

普段は血管の隙間はがっちり閉じていますので(細胞に水分や養分を提供できる程度の隙間は存在していますが)、中の液体がドバドバと漏れることはありません。
しかし、ヒスタミンが血管壁の細胞に作用すると、血管壁の隙間が「ガバっ!!!」っと開いてしまうのです。

これが血管透過性の亢進で、これによって血管外に血液成分の一部が大きく漏出してくるために、細胞外に水がたまってきて腫れる(=浮腫を起こす)ことにつながるのです。

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