(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
笹崎直哉のコラム
Strategy(7)~貧血~

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2017年6月13日

 皆様お疲れ様です。先日シェパードの卒業生であります、池田哲平先生が北海道からわざわざこちら、鹿児島県阿久根市にお越しくださいました!(^^)!。私はその日、朝っぱらから「池田先生に会える日がついに来たぞ」と張り切って仕事をしていましたがいざお会いしてみると不安と衝撃が走りました。「こ、こ、怖い」と池田先生の豪快な筋肉、バスケット選手並みの身長といった体格に圧倒されビクビクしてしまいました。しかし池田先生は笑顔で「君が笹崎君か!よろしくね!」と握手をしてくださり、とても優しく対応して下さいました。池田先生は食事会の場で質問をたくさんしてもどの内容に対しても丁寧にアドバイスして下さりとても有意義な時間を過ごすことができました。
池田先生、本当にありがとうございました、北海道でも池田先生独自のスタイルでお仕事頑張って下さいね(^^♪
 
 
 それでは前回のコラムの続きに入ります。前回は生理的貧血が及ぼす影響について説明いたしましたが、やはり鉄が不足するために赤血球が産生できなくなって貧血をおこしてしまう状態は避けなければなりません。出生時に吸乳欲の減退や起立困難を示す虚弱症状を示す虚弱子牛症候群(weak calf syndrome)があてはまる牛さんの血液性状は、赤血球数、ヘモグロビン量減少といった貧血像を認める場合が非常に多いです。実際にも現場の診療で発育の良くない子牛の血液検査ではどの個体も血液検査でヘモグロビンの値が基準値に達していないものがほとんどで、輸血を実施し状態の改善をはかるといったことを選択するときもあります。

 シェパードではこれを未然に防ぐため、昔から子牛の鉄剤ビタミン注射を行っています。生後三日目の赤ちゃん牛に皮下注射で投与してあげます。ご存知の方は沢山いらっしゃると思いますが、鉄剤のみを投与するだけではなく同時にビタミンE剤とビタミンADE剤も一緒に混ぜてしまいます。なぜなら鉄剤には酸化作用といって体内のものを錆びつかしてしまう作用がありますので、これを防ぐため抗酸化作用をもつビタミンE剤を加えてあげるのです(肺炎後処置のプログラムでもビタミンE剤を投与しますよね。同じように抗酸化作用を目的としています)。
 2つ大事な注意点がありまして、生後すぐの赤ちゃん牛には使う機会は無いかもしれませんが「テトラサイクリン系の抗生物質(OTC、CTCなど)」と「イベルメクチン製剤(アイボメックなど)」を同じ日に使うのはやめましょう。子牛が死ぬ危険性があるようです。子牛の生理的貧血は見落としがちな範囲かもしれませんが、非常に重要なのです。

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