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椎葉絢香のコラム
牛だって不妊治療⑩

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2016年10月26日

 実は、妊娠しているお母さんの中で、異物反応は少し起こっています!

 人間の“つわり”です。妊娠によるホルモンバランスの乱れや精神的なストレスによるものなども考えられるので『つわり=異物反応』とは言えませんが、“つわり”は赤ちゃんが元気に育っている証拠とも言われています。(*´ω`*)

 牛はお母さんの胎盤のつくりが特殊なため(お母さんの血管と赤ちゃんの血管が遠い)人間でいう“つわり”はありません。妊娠牛がゲェーゲェー吐いているのを見たことある人いませんよね?(笑)

 実は妊娠している状態で、お母さんも胎子も元気に育つのは、免疫寛容(免疫トレランス)が働いているからです!前回話したように、お母さんのお腹の中に赤ちゃんがいる時は、お互いに異物として認識しているのですが、異物として認識しても攻撃はしないよう、免疫に抑制がかかっています。お互いに我慢してくれているこの状態を免疫寛容と言います。

 そして、ETでできた子牛の方がAIの子牛よりも弱いのは、この免疫抑制が強いからではないかと考えられています。

 私個人の考えとしては…(´・・`)
 精子が命がけで卵までたどり着き、お母さんのお腹の中で授精が行われるAIに比べると、ETは試験管の中で授精させたり、本来のお母さんの卵ではない授精卵がお腹の中に入ってくるわけです。よって、AIより強い異物反応が起こりうるため、それを助けるために、お母さんも子牛もお互いを攻撃しないよう強く守り合っているのだと思います。生命の神秘ですね~★☆(*´ω`*)★☆

 皆さんも、長期不受胎牛がいてもあきらめずETに挑戦してみてはいかがですか?(#^.^#)

 ”ETの子牛は弱い”といっても……あきらめることは、一頭の母牛の一生を左右することですし、その母牛の後継牛の未来を潰すことになりかねません。(◞‸◟)
 しっかりとした飼養管理をおこなっていれば立派な牛に育てることができるはずです!!・・・(*´▽`*)

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