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松本大策のコラム
「意外と怖いカビのお話2」

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2007年8月20日


 左上の写真はなんだか分かりますか?じつはカビ毒が原因と考えられる流産の写真です。この農場では自家産のラップサイレージを使っていたのですが、運悪く収穫の時に雨が続いたらしく、給与されているサイレージがとてもカビ臭かったのです。
 廃棄して別の購入乾草を給与していただこうと思ったのですが、農場としても40本ほどあるラップサイレージを廃棄する場所もなく、1本が3,000円くらいするということもあって、しかたなく「給与量を粗飼料の半分以下にして、他の乾草とあわせて使う。カビ毒吸着剤を併用する。」という折衷案でいくことになったのです。もちろん、食いが悪かったり、下痢や軟便が出たりしたら、すぐに給与は中止して下さい、とお願いしてありました。しかし、1〜2週間もしないうちにいきなり流産してしまったのです。カビ毒吸着剤といえども万能ではありません。あまりに顕著にカビの見える物では、効果が発揮出来ないのです。
 いまどき和牛の子牛なら、ちゃんと育てば50万円です。ラップサイレージは1本3,000円でも40本で12万円。確かに廃棄場所は苦労しますが、50万円のロスを考えると高くついた節約でした。
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