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蓮沼浩のコラム
第560話:限定合理的判断

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2019年3月14日

 先日体調を少しくずしまして、自分でもびっくりしてしまいました。怪我はあっても、とにかく病気などには強く、かなり頑丈な方だとおもっていたのですが・・・。

 小生はとにかく診療やコンサルに行ったりすることで沢山の牧場を見てきています。少しでもお役に立てるように頭をフル回転させて、診察したり、色々話を聞いたり、話したり、データを見たり、状況を良く観察したりといろいろな事を意識してやっています。

 すると・・・おぼろげながら問題点が見えてきます。特に検査結果などがあると、さらにその問題点に関しての認識が強固になります。

 「なるほど、これが原因でこのような状況になっているのか!!」

 「この問題にはコレコレやって、こうすればいいな!!」

 すぐに対策が思いつく場合もあります。今まで本当にいろいろな事を経験させていただいてきたので、頭の中の引き出しはガラクタもドッサリありますが、結構充実しています。なので、大概のことは状況やデータ等から「合理的」に判断して答えを導きます。もちろん、これは仕事をするうえで非常に重要なことになります。常に「合理的」な判断をできるように小生は努力しています。

 しかし・・・・この「合理的判断」というものが実は非常に曲者です。自分では「合理的」と思っている判断も実は、限られた情報の中から導きだされた判断になります。100%状況を把握することは、実は不可能です。問題の背景や状況など100%理解して判断するのであれば、「合理的判断」ということもできるかもしれませんが、残念ながら現場ではあくまでも一部の情報を用いて、その情報をもとに自分で「合理的」と勝手に思いながら限定された情報で判断している「限定合理的判断」という状況になるのです。

 自分では「合理的」に判断しているつもりが、実は「限定合理的」に判断しているかもしれない・・・。獣医師としてこのように謙虚に自分の思考回路を見つめることはとっても大事なことだな~と思っています。

 世の中はもうびっくりするぐらい、小生の「合理的判断」を覆すことで満ち満ちています。ここにさらに「感情」が入ってくると、もうぐちゃぐちゃになります。いや~人生って本当に面白いですね!

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